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執筆者の写真明橋文学

理想と誠実さ(翠)

ご無沙汰しております。

明橋文学の時谷翠です。

師走の末日、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

私は今こちらの文章を実家に帰る道中の空港にて書き上げております。


今回は1年の振り返りといことですが、あまりプライベートな話をしたところで皆様には何のことやらさっぱりかと思いますので、今年を振り返る上で大きかったことをざっくりとお話しさせていただきます。


 

自分のこの1年を振り返った時、最初に出てくる言葉は「誠実さとは何か」というものです。というのも、私は現在大学4年生であり、来年から社会人という身で、今年の前半は専ら就職活動に勤しんでいたためです。

「どんな人になりたいですか?」「あなたの将来の理想像はなんですか?」という、自分が何者になりたいのかという質問に対し、私は常に「誠実な人間であり続けたいです。」と答えていました。きっと他の人ならば常に人に感動を与えられる人になりたいだとか、世界に通用する人材になりたいだとか、もっと具体的で実直なことを言うのでしょうが、私にはそれし思いつきませんでした。私の言う誠実さとは常に「正しさ」に近いものだと考えています。世の中はしようと思えばいくらでもずるいことを出来てしまいます。でもそれによって被害を被る人だっているのです。私は、そういう人たちがこの世に生まれないためにはどうすればいいのかをよく考えます。現時点での私のこの問いへの答えは、相手(自分の行為によって損害を受ける人)を慮ることです。それは単に相手の求めることに応えるわけではなく、自分が相手の要求に対してどのくらい応えることが、その人のために最善なことなのかを考える事です。


例え話を一つ。飲食店にて、大変忙しい昼時に店の厨房は急いで料理をつくりますがそれでもオーダー後、提供までの待ち時間が15分ほど発生しています。店員はあらかじめ案内時に提供に待ち時間が発生している事は客に伝えています。一人の客はしびれを切らして店員を呼び出し、怒鳴り始めます。「料理が遅い、いつまで待たせるのか。」と。

さて、店員は謝りながらもどう対応するべきか考えます。

①謝り、なんとか待ってもらえるようになだめる。

②厨房を急かし、このお客さんの分を早めに出してもらう。

③謝罪し、代金を無料、あるいは値引きする。

④追い返す。


皆様が店員ならどうなさいますか?

可能であれば④を激推ししたいのですが、それは社会倫理的に反しますし、SNSで炎上したら大変なので今回は外させていただきます。

結論から申し上げると、私は①を選びます。それが一番被害者を生まない方法だと私は考えるからです。②を選ぶとすると、クレームが入らなければもう少し早く来ていたであろう料理がさらに遅くなるお客さんが発生します。これでは怒ったもの勝ちです。声の大きな人が勝つなんて不道理をまかり通らせてしまいますし、被害者も存在します。では③を選ぶとどうなのか、お客様は「クレームを入れれば、代金は安く済む。」と学んでしまいます。このお客様がこのお店に一生住んでいれば話は別ですが、この後、あるいは別の日に他のお店へ行きます。その際、お客様はまたクレームを入れて値引きをさせようとするかもしれません。そうすると損害を受けるのは一時を凌いだ自分の店だけではなく、他のお店も同じく損害を受けることになります。さらに加えれば、同じように料理を待っていたお客様は声をあげなかったばっかりに、他の人は安くご飯を食べられたのに自分は定価のまま食べてしまったと感じてしまいます。これでは、「お客様に料理を提供して満足してもらう」という飲食店の前提への信頼感が落ちてしまいます。

以上の理由で相対的に見たときには①が最も人のためになる選択だと、私は思います。


例え話が長くなってしまいましたが、これが私の考える誠実さの具体例だと考えます。


しかし、私はあくまで「誠実であり続ける人間」になりたいのであって、現在はそうではありません。「理想」とは常に自分のないものであり、だからこそ理想なのです。10代の自分にはおそらく誠実さのかけらなんてものはなかったので、今からでもとこんなに基礎的な部分を今更になって追い求めるのは最早滑稽とも思いますが、それでもなお、欠かしたくない部分であるとも思うのです。


冗長になってしまいましたが、今年の大半はそんなことを考えて過ごしました。少しでも人にとって信頼に足る誠実な人間を目指し、来年もまた勤しんでいきたい所存です。


来年もまたよろしくお願いします。


時谷翠

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